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潮江文次郎の従妹友情シリーズ『曖昧な約束』「たゆたうひとひら」更新
潮江先輩の従妹友情シリーズ『曖昧な約束』- 小品集『さよならの手のひら』より掌編「たゆたうひとひら」(潮江文次郎先輩と)公開

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アドベントカレンダー企画20日目は、潮江文次郎先輩でした。潮江先輩ご卒業記念に寄せた小品集『さよならの手のひら』より1本ずつ蔵出ししていきます。🌸


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🐲˗ˏˋ みんなの好きなフレーズも教えてください!! ˎˊ˗

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 満開の桜の下で、少女の視野はただじっと一点を捉えている。
 空色に若葉色、茄子紺色の装束をまとった生徒が輪を作っている。彼らは輪の中心人物の静かな語りを、身動き一つせずに聞き入っていた。輪の中心には草色の装束をまとった六年生が、背筋をぴんと伸ばして立っていた。
 少女は、大きな瞳を絞った。そのひとの輪郭が、際立った。
 草色の装束は、くたびれているようにくすんで見える。ところどころ引っかけたように糸がほつれている。離れていても、目の下の隈ははっきりと見えた。けれども、その表情はひどく穏やかだ。
 振ろうとしていた手のひらを、ゆっくりと降ろした。無意識に力が込もる。覚悟していたはずの心が、今更になって震えた。

 ついにそのひとが、口を閉じた。話は終いだ、と片手をひらりと振る。
 それが、合図だった。
 井桁模様の浮かんだ制服に身を包んだ一年生たちが、そのひとに飛びついた。そのひとは微苦笑のようなものを漏らす。しょうがねぇなあ、というように唇を短く動かして、両手で一年生二人の頭を乱暴に撫でた。たまらずに三年生も四年生も一年生ごと彼めがけて飛び込んでいく。


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この小品集はすべてセットでお読みいただきたいお話です。思い入れが強い作品なので、胸がいっぱいで何も言えないぜ……。そのため、書いた当時の後書き原文ママ失礼しますね。


さて、この「さよならの手のひら」は、先の閉鎖前に企画倒れで終わってしまった「春よ、こい」企画用にあたためていたお話です。「二律背反する感情の狭間で」とそこはかとなくリンクしています。

行き当たりばったりな私にしてはとても珍しく、コンセプトが色々とありました。今となっては、詰め込みすぎたために構想当時、企画倒れしたのかな~と妙に納得しております。コンセプトは以下のとおりです。
・文次郎の卒業記念に寄せて最終回っぽい話を書く。
・「春よ、こい」企画として、時間軸は全て春に限定する。
・「掌(てのひら)の小説」のオマージュで「掌(たなごころ)の小話」を…。川端先生、ごめんなさい。
・↑を踏まえて、全編通してそれぞれ手のひらにまつわるエピソードを描く。(これは駄洒落たかったのが大きいです)
・「手のひら」だから、お話の数は全部で5本。
・卒業→思い出のアルバム→思い出がいっぱい…というセルフ連想ゲームに則って、潮江さんちの従兄妹ズのクロニクルをお送りする。


「たゆたうひとひら」について
あのひとをみんなで取り囲む会の段でした。最後のお話と合わせて1つのお話となります。こちらでのテーマは「別れの挨拶=振る」でした。

彼を囲んでいるのは、もちろん委員会でおなじみのあの子たちです。普段、鬼のような彼ですが、頼りがいのある先輩だと思うのです。後輩からは心の底では慕われているといいなあ。
かの四年生が三年生の彼を迷子にしないように首根っこ掴んでこの場に居るという裏エピソードがあるのですけれど、彼女の視界には全く映っていなかったようです。(笑)

…ぼかしたり、指示後を使うのが大好きです。



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「二律背反する感情の狭間で」もご案内いたします。合わせてお読みいただけると嬉しいです。
二律背反する感情の狭間で...

たゆたうひとひら...


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重ねてのお知らせとなりますが、本日12月20日から最終日25日までは潮江先輩卒業記念に寄せた小品集「さよならの手のひら」から一つずつ蔵出しします。最後まで楽しんでいただけますように。それでは、また明日よろしくお願いします。