さよならを言う練習をする

長年勤めた仕事をこのたび退職しました。正確に言えば7月31日が最終勤務、以降9月終盤まで公休有休消化期間となります。

辞めた理由については書けば書くほど特級呪物になりそうだな。でも、区切りをつけておきたいのと自分自身のやりきれない気持ちをきちんと供養したいので出力しておきます。
端的に言うと。金です。金。

▼ 特級呪物的退職あらすじを展開して読む


金、金、金! 騎士として恥ずかしくないのか!? ……言わせんな恥ずかしい。
<あらすじ>
仕事によるストレスで持病が年々悪化し、睡眠もままならないので担当医師に勧められた強めの新薬を使う治療を選択→(まだ新薬につき後発医薬品がないので)治療費が大幅にアップ!→おめでとう! 高額療養費制度の実績が解除されました!!!!!!!!!
……担当医師曰く、「回復していけば薬の使用間隔を更に空けられるので治療費もスタート時点よりは負担にはならないはず」とのお話でした。強めの薬のおかげで睡眠は確保できました。が、寛解にはほど遠く、根本である仕事のストレス(環境と業務内容)がどうにもならず、悪化。更に昨今の食料品や電気など生きるのに必要なありとあらゆる物資や生活を支える基盤の高騰化と酷暑の合わせ技でますます悪化。このまま仕事続けたらこの夏確実に俺は破滅する……という危機本能が退職のあらましです。ライフイズマネー。金はすべてを解決する。やっぱ金しか勝たん。
</身も蓋もないあらすじ>

み、身も蓋もない。情けねえ~! あまりの情けなさに泣いてる。高額療養費制度のパワーも借りて治療費払ってたけどさあ、ありとあらゆるものが高騰化していて持って行かれる額が年々増えてるし、たとえ医療費3割の負担でも現実は厳しいよ。焼け石に水。どうにかなる話ではなかった。働けば働くほど貯蓄がね、どんどん減っていくんです。知ってるか? 金ってね、精神の安定に直結してるんですよ。先月ついに限界ライン越えまして。人生で初めてこんな残額見ました。残額見て、血の気の引く音が聞こえました。月替わりに異常なほど暑かった6月の電気料金はじめ公共料金引き落とし、その後給料日までの2週間。絶対に持病以外で病気も怪我も受診も許されない夏――だが、命に関わるほどの危険な猛暑。無理ゲーにもほどがある。この酷暑で電気代もどえらい料金持って行かれることが約束されているし、さりとて冷房料金をケチったら日々の体力回復どころか持病の現状維持さえままならないので。どっちに転んでもヤバい。ヤバすぎる。……あのね、救急外来に搬送されて各種検査実施するとね、だいぶ治療費取られるんですよ。熱中症になるなと言うのはそこも関係してる。さすがに生命維持活動の危機を覚えました。全身震えながら実家に電話でHELPを求めた時には己の情けなさに泣けて泣けて仕方なかった。「即退職しろ」「実家に戻ってこい」「よく頑張った。しばらく実家でゆっくりしろ」と家族から言われてね、これにも泣けて泣けて仕方なかったです……。お言葉に大いに甘え、仕事を辞した後は現住居を退去し、実家に身を寄せてしばらく休む所存です。次の仕事も実家を拠点に探します。
この選択が正しかったのかどうか、今の私には判断できません。先の人生で振り返ったときの私に答えは委ねます。

Q.言うて高額療養費制度あるんだし、治療費ってそこまででもないんでしょ?
A.家賃おかわりして支払い続けているようなもんです。3割負担だからここまで耐えられたが、これ以上は耐えられねえ。年二回のボーナス切り崩して賄っていたが、これ以上は無理。死ぬ。

Q.労災の申し立てしないんですか?
A.しません。労災ってね~、過去に遡って請求するのも労災を証明するのも、すっげー大変なんですよ。びょういん務めなので知っている。医師の診断書も必要になるし、産業医との面談も必要になるし。費用だけでなく、体力も時間もその分要求される。しかしながらその手続き進めたとしても、業務も悪化した持病の治療も変わらず続くので、抗えば抗うほど己が深手を負うことになる。そのうえ仮に休職した場合、満額の給与が支払われなくなるので治療費と生活費とで財政は逼迫しますます困窮する未来しか無かったってワケ。

Q.環境改善は申し立てないんですか?
A.しません。衛生環境がね、劣悪なんですよ。うちの部署だけの問題ではなくて。組織全体というか組織そのものが問題。建物全破壊して一から建て直さない限り改善は無理。絶対に無理。だから、俺は己が逃亡兵となることを選択した。

Q.次の仕事決まらずに辞めるのって博打にもほどがありますよね?
A.うるせー! わかっとるわい! この先も命に関わる危険な暑さ続くのに就職活動なんぞ真面目にできるか! 死ぬが???????? もしくは熱中症で運ばれて医療費更に請求されるわい! 俺だって新卒時代からここしか知らんし、世間で通用するなんて思っとらんわい!! 金がなきゃ治療も生活も勤労も納税もできねえんだよ!!!!!!!!

……はー。書けば書くほど特級呪物めいてくるし、腑甲斐なさに泣けてくる。
仕事はねえ、衛生環境と仕事内容には顔をしかめるしかないが、人生で人間関係がいっとう楽な環境ではあったのでそこを退場するのには葛藤があった。でもさあ、働けば働くほど生活が困窮するんです。このまま働くのは無理だよ……。借金しないと暮らせなくなる。こんなにも苦労して勤労しているのに借金するってありえないでしょ。

退職するにあたって、周囲からも色々言われました。一番多かったのは、「n年も勤労した実績を手放すなんてもったいない」でした。そうかな。そうかもね。でもさあ、金。金! 金がないと生命維持活動続けながら人間という生き物は勤労できねえんですよ!!!!!!!! サビだから何度でも言うが、金がなきゃ治療も生活も勤労も納税もできねえんだよ!!!!!!!!
等と胸ぐら掴んで言えるわけもなく。社交辞令かもしれんがその言葉を掛けて引き留めてくれる人々が我が生涯に投資して生活を保障してくれるはずもなく。生きるって難しいね。やっぱ、金なんだよな。金……。金の使い道に困っている石油王、俺の口座を紹介するので毎週おこづかいを振り込んでくれませんかね。

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結論。働けば働くほど金が出て行くから病めましたし辞めました。

お世話になった医局の先生方や各部署に数日かけてお礼参りしてきました。労いに励まし、思い出話だけでなく、個別に贈り物や手紙までいただいてしまい、泣いた。世界、あったかいね……。
現世に舞い降りし神の如きベリーベリーベリー∞ジェントルソウルをお持ちの大好きな女医さんが最終日は不在で会えないからと回診の合間にわざわざ訪ねてくださった上に、「寂しくなりますね」「いつでも帰ってきてね。待ってますからね」とお菓子を手渡ししてくださり、(好きだ……!)となった。好き!
医長からも「少しでもこれで疲れを癒やしてね」「もうここには戻りたくないかもしれないけど、帰ってくる日を待ってますね」とのお言葉と共にアロマストーンセットを賜り、泣いた。奥さんに買ってきてもらったんだなあというお品なのがほっこりポイント爆上げしつつ、泣ける。

最終日は部署メンとの記念撮影に泣き、医局の先生方やいろんな部署の方々が代わる代わる挨拶や見送りに訪ねてくださり、労いや贈り物までたくさんいただき泣いてる。あったけえ😭
チョコレートを院内のコンビニまで買いに走ってくれた先生や非売品の好物型の景品(ハンバーグとかそういう種類の小物ですがナンデ?)(本当になんでだよ??)をくださった先生までいらっしゃって泣き笑いです。ありがてえ〜〜! 女王様だったり、気まぐれにもほどがある乱高下シェフタイプだったり、癖が強すぎて苦手意識つよつよだった先生方が、それぞれ回診前にお菓子届けに来てくださったり、院内コンビニへ走ってくれたり、当直前にわざわざ挨拶に来いらしてくれたりしてさあ……泣いちゃうよ〜〜。仕事、認めてくださってたんだな。俺は外で泣く……これね、全部違うおじさんなんですよ。女王様もおじさんだし、気まぐれシェフもおじさん。癖つよつよドクターズ取扱説明書作るの大変だけど面白かったな……。最終回に友情出演してくれる法則展開は激アツでございました。
退職キメ記念にちょっといいとこのパフェ食べて帰る予定〜♪だったのですが、代わる代わる皆さんから焼き菓子を頂戴し、焼き菓子屋さんオープンできそうなほどの荷物になったのと、浮かれて階段転げ落ちて死ぬかもしれんとの恐怖で勤務最終日は真っ直ぐ帰宅しました。
焼き菓子、引っ越しの断捨離で頭疲れそうなので大事に食べます。冷蔵庫に入り切らないのでエアコンの温度、下げさせていただきます。

下は大火事、上は洪水てんやわんやの寄らば斬る幕末の京都めいた憎らしくも愛すべき戦場での長い対戦、まことにありがとうございました。

おお、我がふるさとのYAMANASHIよ。分け入っても分け入っても青い山である我がふるさとよ。/^o^\フッジッサーンよ。こんなにも都会の吹きすさぶ風、下は洪水、上は大火事てんやわんやで幕末の京都めいた現場を血走った目で走り回る現場に摩耗し、草臥れちまった俺をそのまま受け入れてくれるか?
……やっぱ、この退職と引っ越しに対する俺の心情、古今和歌集とか唐詩三百首とかで既に詠まれたよね????