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潮江文次郎の従妹友情シリーズ『曖昧な約束』「曖昧な約束」更新
潮江先輩の従妹友情シリーズ『曖昧な約束』- 小品集『さよならの手のひら』より掌編「曖昧な約束」(潮江文次郎先輩と)公開

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アドベントカレンダー企画22日目も潮江文次郎先輩をお送りしています。潮江先輩ご卒業記念に寄せた小品集『さよならの手のひら』より1本ずつ蔵出し中です。🌸


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🐲.。oO( 好きなフレーズ発表ドラゴンが 好きなフレーズを発表します ) 
🐲˗ˏˋ みんなの好きなフレーズも教えてください!! ˎˊ˗

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「……文次郎ちゃんも?」
「…………ばかたれ」

 ぞんざいな一言だったが、不器用な彼なりの答えに聞こえた。
「わかりました。代わりに文次郎ちゃんも約束して下さい」
 言って、右手をそっと伸ばした。左腕を彼の首に回し、落ちないように体重を預ける。伸ばした方の右手の小指で相手のそれに軽く触れた。伸ばすだけで精いっぱいで、かけ合わせることまではできなかった。だから、祈るように呟いた。

「あまり無理はしないで下さい」
「……してないことまでは約束できんぞ」
「説得力がないので却下です」

 戻した右手の人差し指で、彼の目の下をトンと押した。
 返事はなかった。けれども、彼の頭が上下に揺れ動くのが見えた。

 文次郎の足取りに迷いはない。しかし、その歩みはとても静かなものだった。
 彼は、伽夜の足首に震動が伝わらないように気遣ってくれていたのだ。
 理解した瞬間、息が詰まった。
 思わず彼の両肩をぎゅっと掴む。それでも――目のふちに盛り上がったものがあふれてしまいそうで、伽夜は顔を伏せた。


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シリーズタイトル『曖昧な約束』回収の段! でした。
この小品集はすべてセットでお読みいただきたいお話です。思い入れが強い作品なので、胸がいっぱいで何も言えないぜ……。例によって例の如く、書いた当時の始末書原文ママ失礼しますね。

「曖昧な約束」について
「指きり」がテーマ。従妹殿が入学しましたの段。このお話が一番の難産でした。
曖昧なのは、きちんと交わしたものではないからです。今回、とうとうこの連作に使ってしまったのですけれど、「曖昧な約束」が文次郎とその従妹のお話の個人的なシリーズ名だったりします。兄弟よりは遠くて、友達よりは近い。いとこ同士って、血縁こそあってもお互いに意識しなければ簡単に疎遠になってしまう。そんな曖昧な間柄なのではないかなあと。

いかに当時に関する知識が欠けているかということを心底痛感したお話でした。というのも、蓮華草が日本で栽培されるのは、もう少し時代が下がった江戸時代からなんで す…。万葉集にもいくつか詠まれている、日本古来の春の花の代表スミレにすべきかどうか最後まで悩みました。しかしながら、そちらはどうも彼らの柄ではない高貴なイメージの花なので、一緒に摘んで遊んでもらいたいという己の願望を優先しました。でも、蓮華草も室町時代には日本に帰化していた(らしい)ので、目を瞑って頂けると嬉しいです。……や、彼女のお父さんは本草学オタクなので、ありだと力説させて下さい。ええと、たぶん、何やかんやで入手しておうちで育ててますよ、たぶん。……何やかんやは、何やかんやです!(…)


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小品集『さよならの手のひら』とリンクしている「二律背反する感情の狭間で」もご案内いたします。
二律背反する感情の狭間で...

たゆたうひとひら...

結んで 開いて...

曖昧な約束...


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繰り返しのアナウンスですが、12月20日から最終日25日までは潮江先輩卒業記念に寄せた小品集「さよならの手のひら」から一つずつ蔵出ししています。アドベントカレンダーもいよいよ残すところ3日となりました。宣材と合わせて楽しんでいただけますように!